今回はファッション好きにオススメの映画をご紹介します。
紹介したい映画は数有れど、今回はその第一弾として、3月に公開した「博士と彼女のセオリー」と「ディオールと私」の二つを取り上げます。
「博士と彼女のセオリー」は2015年第87回アカデミー賞にて主演のエディ・レッドメインが男優賞を受賞した作品です。
ストーリーは直接ファッションに関係している内容ではないのですが、ファッション的な見所はヒロインジェーンの青春時代からウェディングドレスまでの古き良きイギリスのスタイルです。
出会いのシーンの、さすがはケンブリッジの学生を思わせるライトブルーの上品なワンピースや、遊園地デートでのミントグリーンのワンピースとオーガンジーの手袋の組み合わせ、校内でのこなれたブラウスとカーディガンに眼鏡、シンプルなシルエットのウェディングドレスなど、とりあえず、言葉では表現しきれない可愛さなんです。
普段の生活にも直に取り入れられそうなスタイルが踏んだんに散りばめられているので、是非お手本にしてみて下さい。今の日本での流行に乗っかるばかりではない、とっても小慣れたスタイルで、絶対的にオシャレになるはず。
気になる内容は、天才物理学者スティーヴンと、その運命に寄り添い続けた女性ジェーンの深遠なるラブストーリーです。ケンブリッジで出会い、お互いの関係を深めて行くシーンでは、ハイセンスな言葉のキャッチボールが見所。
宇宙の謎を解き明かす事に邁進する天才物理学者スティーヴンですが、やがて難病であるALSが発祥し、徐々に身体の自由を奪われていきます。そんな彼の夢に寄り添い続け、運命共同体として結婚生活を送るジェーンの女性としての行き方には脱帽するばかり。
また時に、困難な状況でも生きる希望と自分の夢を追い求め続けたスティーヴンの姿勢は、現代では失われつつ有る何かを思い出させてくれる様です。
男女の関係を超越した、強固なキヅナが成し得た感動の最後は涙なしでは見られません。
何かスッキリとした後味で、前向きに映画館を後に出来る映画です。
「ディオールと私」
こちらはタイトル通り、ファッション好きにはたまらない映画です。
世界で指折りの老舗ブランド、クリスチャンディオールの全面協力のもと行われた今回の作品は、プレタポルテのデザイナーであったラフ・シモンズのディオールアーティスティック・ディレクター就任直後の苦悩を追ったドキュメンタリー作品。メゾン設立以来、初めて映画のカメラが入り撮影を許可されたそうです。
ディオールと言えば、国籍を問わず多くの女性を虜にしてきたフランスの伝説的ブランドです。
イザベル・アジャーニ主演の「炎のごとく」、ロバート・アルトマン監督の「プレタポルテ」など、さまざまなシネマで女優を輝かせた、映画界の影のスター的存在でもあります。プレタポルテのデザイナーのラフ・シモンズが初のオートクチュールコレクションを発表するにあたり、周りのスタッフからの反発、苦悩、そしてショーの成功までを完全ドキュメンタリーで追います。
宝石の様に美しいドレスが完成するまでの、数々の職人の情熱と、決して妥協する事のないクリエイションが、終始見る人を魅了し続けます。
数々の困難を超えて、沢山のスタッフの思いが詰まったコレクションの発表では、ラフ・シモンズの歓喜が観客にも充分に伝わってくる臨場感です。見終わった後は、ブランドの見方が少し変わる事間違いなし。ファッション好きは絶対に見ておくべき映画です。