引用元: http://www.fashion-press.net/
今季2015AWのニューヨークコレクションはユーティリティーアイテムやランジェリー風のシェイプ、ミリタリーにガーリーなどミックススタイルがどのブランドでも目立ちました。その代表格となったのがマークバイマークジェイコブスのショーです。
ヒップホップ、ミリタリーやガーリーなど様々な要素を組み合わせ、メッセージ性の強いデザインを打ち出しました。
今回のショーを一言で表すと、パワフルで大胆なミックス
ショーのBGMもヒップホップ初期の曲が使われました。冒頭ではT. Rex’sの””Children of the Revolution’の力強いブラストで始まり、Fight the enemy の’Fight the Power’ など、終止メッセージ性の強いヒップホップがショーの雰囲気を作っていました。
ファッションで表現する政治的なポリシー
今まで多くの場合、ファッションと政治を結びつけるのはタブーとされてきました。しかし今回のマークバイマークジェイコブスはあえて真っ正面からそのタブーに向き合った、メッセージ性の強いデザインが並びました。
スタートからカモフラージュ柄に見える草の葉のプリントに、’Suffragette'(婦人参政権論者)や’Solidarity’(団結)の様な力強いタイポグラフィーを載せた、ブラックベレーにロングスカートを合わせたシルエットで登場しました。小物はバックルやスタッズが光るハードなイメージで、小物でも力強い女性を表現していました。その後もミリタリー風のアイテムが続き、カーキやインディゴ色を使い、シルエットはダボダボのズボンなど、戦う女性をイメージさせるアイテムが並びました。
ウィリアムモリスを連想させるオークリーフ柄にみえるメッセージ
後半はシルエットこそはフィットアンドフレアのワンピースなど、フェミニンな形に移行したものの、相変わらずウィリアムモリスを連想させるオークリーフの柄を用いたプリントで、社会に対して一石を投じるスタンツを連想させるアイテムが並びます。
ウィリアムモリスは19世紀イギリスで、アーツアンドクラフト運動という、芸術を一部の貴族の者だけの娯楽ではなく、生活の中に取り入れようと活動を続けた著名なデザイナー。彼はデザイナーでありながら、第一線で活躍する社会論者でもありました。
そんな彼の作品を連想させるデザインをショー全体で起用し、美しいものを好む女性の立場から、社会を変えて行きたいというデザイナー、Luella Bartley とKatie Hillierの今回のショーで表現したいメッセージが伝わってきます。
ただキレイなもの、工芸的に価値のあるものを作るのではなく、ファッションを自分の考えを表現するツールとして使う、今回のショーはその前進ともなる、とても印象的なコレクションでした。